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スペシャル
特集/「時の蘇生・柿の木プロジェクト」:当館の柿の木が植樹から20年を迎えます

「時の蘇生・柿の木プロジェクト」被爆柿の木2世
1945年8月9日、長崎で被爆しながらも奇跡的に生き残った一本の柿の木。
その母木から生まれた「被爆柿の木2世」の苗木に出会った現代美術家の宮島達男氏は、苗木を世界中の子どもたちに手渡し、柿の木をテーマにアート表現をしながら育てることで、平和と命の大切さを学ぶというプロジェクトを考案しました。
アートには他者の痛みを想像する力、新しい世界を創造する力が宿っており、それは国や宗教、人種や言葉さえも乗り越え共感を与えるものです。
その趣旨に当館も賛同し、この木の里親となりました。
祝!柿の木 植樹20年
2005年春、旧 ハラ ミュージアム アーク(現 原美術館ARC)に群馬県内では初めて「時の蘇生・柿の木プロジェクト」の柿の苗木が植えられました。そして2025年、すくすくと成長した柿の木は、植樹から20年を迎えます。
当館では、植樹前年の2004年、植樹をした2005年、そしてプロジェクトそのものの20周年にあたる2014年に、それぞれアートイベントを開催いたしました。本記事では、そんな当館の柿の木の歴史とともにある、3つのアートイベントの概要をご紹介。本プロジェクトのアートイベントには、楽しい思い出を通じて、子どもたちに被爆柿の木2世のことを覚えていて欲しい、という思いが込められています*。
*参考:「時の蘇生・柿の木プロジェクト」公式webサイト「子供向けQ&A集」
当館で2024年までに開催した「時の蘇生・柿の木プロジェクト」イベント
2004年11月6日 プレイベント
植樹に先だった2部構成のプレイベントを開催しました。
第1部では講師 木谷安憲(きだに あんけん)氏自作の紙芝居による「柿の木プロジェクト」の説明が行われ、
第2部では展示室の壁に描かれた木の幹に参加者が葉や実をつけて柿の木の壁画を制作しました。
群馬県内の小学生を中心に、家族連れや群馬大学教育学部の学生など、見学を含め約50名が参加し、壁画を含めた「時の蘇生・柿の木プロジェクト」資料展示は2005年1月10日まで公開されました。
2005年5月14日 植樹、そして…
植樹イベントは3部構成で開催しました。
Part1「『木のお医者さん』と語ろう」では、親木となった被爆柿の木を治療し、被爆柿の木2世の苗木を生み出した樹木医 海老沼正幸氏とその活動を支えてきた小池伸男氏の講演会を実施しました。
Part2「みんなで『再生』にチャレンジ―木から木を」では、この「時の蘇生・柿の木プロジェクト」を構想した宮島達男氏らと参加者が一緒に、隣の伊香保グリーン牧場内で伐採した枝等を使った「再生の木」に、画用紙や色紙で葉をつけて実をならせる作品制作を行いました。
Part3「未来へ―柿の木2世の植樹」では、敷地内に被爆2世の苗木を実際に植樹しました。
2014年11月1日 かきまわす
「時の蘇生・柿の木プロジェクト」発足から20年の節目を記念して、
アーティスト 中島裕太氏(群馬県出身)が、各地に植樹された被爆柿の木2世から実を集めて炭作りに挑戦したのち、その炭を使ったワークショップを行うというイベントを開催しました。
イベント当日、参加者は作家と共に炭をくだいて墨汁をつくり、柿の木のまわりを回って絵を描いたり、影に扮したりして時間の経過を表現。プロジェクト発起人の宮島達男氏も立ち会われました。
当時のイベントページはこちら
そして、これから
昨年(2024年)の柿の実
毎年たわわな柿が実り、来館者の目を楽しませている当館の「被爆の柿の木2世」
2025年の秋はどのくらいたくさんの実がなるのでしょうか…どうぞお楽しみに
(2025年6月 記事作成)
関連リンク
「時の蘇生・柿の木プロジェクト」公式
当館柿の木の親木情報(PDF)