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展覧会情報

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光―呼吸 時をすくう5人

会期:2020年9月19日[土]-2021年1月11日[月・祝]

本展は日時指定の予約制です。
※予約方法の詳細はこちらをご覧ください。

本展撮影について
館内(中庭を含む)の撮影はご遠慮ください。
今回の展覧会「光ー呼吸 時をすくう5人」では、原美術館での時間を記録ではなく、皆様の記憶に留めていただけたらと考えています。 展覧会の趣旨をご理解くださり、ご協力くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

今秋、原美術館では、「光―呼吸 時をすくう5人」展を開催します。先行きが不透明な中でも静かに自身の立ち位置から社会を省察し、見る人の心に深く語りかける5作家の作品を紹介します。


手に余る世界の情勢に翻弄され、日々のささやかな出来事や感情を記憶する間もなく過ぎ去ってしまいそうな2020年。慌ただしさの中で視界から外れてしまうものに眼差しを注ぎ、心に留め置くことはできないか――そのような想いから企画された本展には、今井智己、城戸保、佐藤時啓の写真を中心とする表現に加え、原美術館のコレクションから佐藤雅晴のアニメーションとリー・キットのインスタレーションが出品されます。表れ方は異なるものの、そこにある時間や空間に光をあて、自身を取り巻く社会の息遣いをかたちにし続けている5人。彼らの作品を通して、意識されぬまま過ぎ去る時を掬(すく)い、見過ごされてしまいそうな光景を救って、2020年のディテールを記憶に残していけたらと考えています。

<今井智己(いまい ともき)>
1974年広島県生まれ。1998年東京藝術大学芸術学科卒業。本展では、福島第一原発から30km圏内の数カ所の山頂より原発建屋の方向にカメラを向けた『Semicircle Law』(2013-)に原美術館から同方角を捉えた新作を加えて展示予定。『真昼』(2001)や『光と重力』(2009)などの静謐さを湛える初期作品を併せて展示し、今井作品に通底する意識を探っていく。

今井智己 「Semicircle Law #42 2018.9.11 / 33km」2020年
C-print ©Tomoki Imai


<城戸保(きど たもつ)>
1974年三重県生まれ。2002年愛知県立芸術大学大学院美術研修科修了。城戸は「突然の無意味」と本人が表現する、何気ない日常風景の中で本来の役割や用途からズレた「もの」を捉え、「見る事やある事の不思議」を考察する。写真の構造にも関心をもち、色や光による構図の追求や技術的実験を試みる。本展では原美術館での撮影も行い、日常生活の延長線上に現れる豊かな世界を作品化する。

城戸保 「光と蜜柑」 2019 年 
C-print ©Tamotsu Kido


<佐藤時啓(さとう ときひろ)>
1957年山形県生まれ。1981年東京藝術大学彫刻科卒業、1983年同大学大学院美術研究科修士課程修了。80年代より光、時間、空間、身体、生命をテーマに写真表現に取り組む。代表作『光―呼吸』は、長時間露光を駆使し、風景の中をペンライトや鏡を持って歩き回り、光と自身の移動の軌跡をフィルムに定着させるシリーズ。本展終了時に閉館となる原美術館と、2021年、原美術館ARCと改称して活動を続けていくハラ ミュージアム アークをモチーフに、デジタルカメラを用いた新たな『光―呼吸』を展示する。

佐藤時啓 「光-呼吸」 2020年
©Tokihiro Sato


<佐藤雅晴(さとう まさはる)>
1973年大分県生まれ、1999年東京藝術大学大学院修士課程修了。2000-2002年国立デュッセルドルフクンストアカデミー ガストシュラー。2019年没。実写映像を忠実にトレースしたアニメーションで独自の表現を追求。本展では5年前に五輪へと向かう東京の姿を撮影しトレースした『東京尾行』(2016年、原美術館蔵)を展示。実写とアニメの微かな差異が虚実の曖昧な新たな視覚体験を見る者にもたらす。

佐藤雅晴 「東京尾行」2015-2016年
12 チャンネル ビデオ
©Masaharu Sato

<リー・キット(李傑)>
1978年香港生まれ。2008年香港中文大学美術学部修士課程修了。ヴェネチアビエンナーレ香港代表(2013)。台北を拠点に各国の美術館やギャラリーで滞在制作を行う。制作する土地や展示空間の声を聞きながら日用品と絵画・映像を組み合わせる詩的な作品には、社会や政治への問題意識も内包されている。本展では人工光と展示室に差し込む自然光を用いた静謐なインスタレーション『Flowers』(2018年、原美術館蔵)を展示。


リー・キット 「Flowers」2018 年
プロジェクターの光、段ボールにアクリル、エマルジョン塗料
インクジェットインク、鉛筆
©Lee Kit
Photo: Shigeru Muto

出品作家

今井智己、城戸保、佐藤時啓、佐藤雅晴、リー・キット

会期

2020年4月25日[土]-6月7日[日]
2020年9月19日[土]―2021年1月11日[月・祝](予定)※会期を変更いたしました。

主催

原美術館

休館日

月曜日(9月21日、11月23日、1月11日を除く)、9月23日[水]、11月24日[火]年末年始(12月28日[月]から1月4日[月]まで)

入館料

一般 ¥1,100 / 大高生 ¥700 / 小中生 ¥500


*原美術館メンバーは無料
*学期中の土曜日は小中高生無料
*年齢を確認できる書類のご提示により、70歳以上550円
*身障者手帳のご提示により、ご本人は半額、介助者1人無料


<関連イベント>

9月20日[日] 鼎談:今井智己×城戸保×佐藤時啓

今井智己、城戸保、佐藤時啓の鼎談を開催いたしました。本イベントの様子をYouTubeにて公開中です。

原美術館「光ー呼吸 時をすくう5人」展 鼎談記録映像
https://youtu.be/_rRtMxw7Yos

今井は芸術学、城戸は絵画、佐藤は彫刻と、それぞれ異なるバックグラウンドから写真表現へとたどり着いた3作家に、自身の制作や写真表現の可能性について話をしていただきました。
なお、コロナウイルス感染拡大防止のため、観覧者の一般募集は行わず、本イベントの様子を収録し、YouTubeでの配信といたしました。

10月3日[土]、10月17日[土] 佐藤時啓「リヤカーメラで街をのぞいてみると…!」
※定員につき予約受付を終了いたしました。
佐藤時啓の発明品「リヤカーメラ」は、カメラ・オブスクラ(小さな針穴をあけた暗室に外部の景色を映し出す装置)にリヤカーと自転車を組み合わせた、移動可能な巨大カメラです。そんなリヤカーメラに乗り込んで、原美術館周辺の街をのぞいてみませんか?いつもの景色が全く違うものに見えるはず。
詳細はこちらをご覧ください。

11月8日[日] 城戸保「突然の無意味を探そう!」
※定員につき予約受付を終了いたしました。
「突然の無意味」は、城戸保の作品に近づくためのキーワードです。我々の身の回りには「突然の無意味」としか言いようのない不思議な風景が溢れていますが、忙しい日々の中ではなかなか視界に入ってこないものです。「なぜ?」「何?」と思うと同時にどこか愛着を覚える「突然の無意味」な風景写真をたくさん撮影し、自慢のショットを持ってワークショップにご参加ください。
*コロナウイルスの感染状況により、Zoomによる遠隔ワークショップになる可能性があります。
詳細はこちらをご覧ください。

11月28日[土] 今井智己 「ルールの下の展示模型作り!」
※定員につき予約受付を終了いたしました。
今井の作品「Semicircle Law」では、半径30 km圏内から福島第一原発建屋を撮影するという決まり(law)を設けています。そして展示においても作品を見る鑑賞者の視線のその先に原発が位置する方向に壁を建てています。本ワークショップでは参加者それぞれが自分なりのルールを決め展示模型を作ります。例えば作品の大きさを全て揃えたり、同じ色調の作品だけをひとつの壁に展示したり。あえてルールを作りそれに向き合うことで、今井の作品展示との接点を増やしていきます。
*コロナウイルスの感染状況により、Zoomによる遠隔ワークショップになる可能性があります。
詳細はこちらをご覧ください。

不定期開催「静かなゲリラリサイタル」
「光ー呼吸 時をすくう5人」展会期中、出品作家 佐藤雅晴の制作方法「トレース」にちなみ「静かなゲリラリサイタル」を行っています。演奏とは作曲家の楽譜をトレースする行為。演奏後はそれを自動演奏ピアノがトレースし続けます。開館時間中に開催していますので、運よく遭遇することができるかもしれません。

助成:一般財団法人MRAハウス