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レポート/宮島達男特別レクチャーと「時の海―東北」プロジェクトタイム設定ワークショップ

「次世代リーダーのための感性育成プログラム」の第二回目として、美術を学ぶ学生を対象とした東京都(新宿)と原美術館ARCを往復するバスツアーを9月23日に開催しました。

都心の学校に通う学生にとって、渋川市にある当館まで出かけるのは少々ハードルが高いもの。またコロナ禍の中で学生生活も制限される日々が続き、せっかく美術に興味を持っている彼らに対して美術館ができることは何かないか?と考えるなかで、今回は無料の往復バスを用意し、自然のなかで深呼吸をして、気兼ねなくアートに浸れる機会を作りたいと企画を進めました。

今回のプログラムは、9月23日と24日の二日間にわたり当館で開催される、宮島達男氏による「時の海-東北」プロジェクトの一環となるワークショップへの参加、さらに宮島氏による特別レクチャーと青野館長のガイドによる開架式収蔵庫のツアー、学芸部長による展覧会の作品解説と、アートづくしの盛りだくさんなスケジュールです。県内在住の学生も当館で合流し、総勢25名の参加者からは、大学では学べない世界の第一線で活躍する作家による生の声や制作の背景などを知る貴重な機会になったと好評を得ました。

「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、生命の永遠性を象徴するデジタルカウンターの数字を用いて、生と死、命について表現し続ける宮島達男氏。1989年に原美術館の常設作品「時の連鎖」を手掛けるなど、当館とは深い縁があります。原美術館の閉館後、「時の連鎖」は当館のギャラリーBに移設し、引き続き公開をしています。


このワークショップは、参加者が9、8、7、6 …と、数字が切り替わるタイミングの速さを各自が希望する秒数に設定し、各人1つのカウンターを制作するというもの。選んだ数字や東日本大震災にまつわるエピソード、東北への想いや大切な人へのメッセージを参加者同士が対話を通して共有し合うことで、手のひらのカウンターとともに、東北大震災前後の時間を一度巻き戻すような、あるいは止まっていた時間をふたたび動かすようなメッセージが込められているようにも感じられます。



こうして各地から寄せられた小さなカウンターは、やがて「時の海 -東北」プロジェクトとして大きな一つの作品となることを目指して、現在も各地でワークショップが行われています。また、今回のワークショップの関連企画として、2022年9月10日(土)から11月9日(水)に当館の特別展示室 觀海庵にて「デモンストレーション展示「時の海 – 東北」プロジェクト」を開催しました。

「時の海―東北」https://seaoftime.org/

撮影:木暮伸也

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開催概要
次世代リーダーのための感性育成プログラム② 
美術を学ぶ学生を対象としたバスツアー 宮島達男特別レクチャーと「時の海―東北」プロジェクトタイム設定ワークショップ
日時: 2022年9月23日(金・祝)8:30(集合・バス出発)~18:30(バス到着・解散)
会場: 原美術館ARC
参加人数:25名
助成:一般財団法人MRAハウス
講師:宮島達男

「時の海―東北」プロジェクトタイム設定ワークショップ
日時: 2022年9月23日(金・祝)14時10分~、24日(土)1回目:11時~/2回目:14時~
会場: 原美術館ARC 回廊スペース
参加人数:88名(2日間)
主催:「時の海 – 東北」プロジェクト実行委員会
協力:原美術館ARC